
その日の公演が終わった後、まどかは役者たちと一緒に街へ出た。彼女は最初、他の部員と野球観戦に行くと言っていたが、急に約束を反故にして一緒には来なかった。すると、彼氏が「自分の元彼女もここにいるかもしれないから、ちょっと一緒に行かないか?」と誘ってきたのだ。どうしようか迷ったまどかは、つい「行くよ」と答えてしまった。
街中を歩きながら、まどかは彼氏と他の二人の男性役者の会話を聞いていた。そして、不思議なことに、全員が「麻里さんが好きだった」と口を揃えたのだ。彼女たちはどこか懐かしい、特別な「麻里さん」という女性について話すのだった。自分がどうしてこの場にいるのかが分からなくなる中、まどかは唐突に彼氏にキスをされた。
あたかも、今までの時間すべてが、途切れることなく継ぎ足されたかのような感覚に陥ったまどか。しかし、その後すぐに現実に引き戻され、トイレで吐いてしまった。帰りのバスに乗ったまどかは、隣にいる彼の肩に頭を預けたまま、麻里さんに似ていたことを考えていた。
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■この小説のちくわ様自己採点
感動的:7
笑える:0
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怖さ:0
合計点:11

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