主人公・若松京子は大学生で、趣味は謎解き。ある日、京子は大学の友人・小野寺さくらから、“英国式ティータイム謎解きパーティー”に誘われる。イギリスのアンティーク家具店に併設されたカフェで、5人の参加者は黒糸の椅子に身を沈める。店主が出した謎は、「思考を巡らせ、下を向けば見つかる」との一文。その後、怪盗ルビィの逸話を髣髴とさせる掛け軸や、江戸時代の高名な怪盗へのオマージュと思われる七宝曼荼羅など、あちこちに謎が隠されていることが分かる。しかし、京子は他の参加者たちが激戦を繰り広げる中、ずっと手も足もでない状態だった。 その時、ある男性が京子に接近してくる。男性は、独特のビジュアルと丁寧な口調で話しかけてきた。「若松さん、お手伝いしてあげましょうか？」。男性自己紹介することなく、すでに参加者との間で知られている謎好きな若者であることが分かる。京子は彼の提案を承諾し、2人で探索を進める。多彩な謎を解いていく中、京子の謎解きに対する信念が揺らぐが、男性の言葉によって立ち直る。やがて、2人は店主が刻印されたジュエリーボックスを発見。箱の中には、店主と男性が旧知の仲であったことが示唆される手紙が入っていた。そして手紙を読み終えた瞬間、男性が絶句した。「あれは…僕…僕、あの手紙の内容、忘れていました。いわゆるアイスペーパー現象ですね…」。男性の言葉に、京子は驚かされる。
数日後、京子が彼の斜め前の席であることに気付いた。男性は、吸い込まれるような注意力と、専門性の高さで、京子から圧倒的な信頼を得る存在となった。京子は、男性との出会いを通じて、謎解きに新たな魅力を見出したのであった。
■この小説のちくわ様自己採点
感動的：8
笑える：2
悲しい：1
夢がある：7
怖さ：0
合計点：18
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