『福岡で話題の寿司ランキング！ びっくり寿司が1位に輝き、鮨 さかいは2位に…！』

福岡県で人気の寿司屋「鮨 さかい」が2位なのは当然で、1位に輝いたのは「びっくり寿司」だった。そこで、多忙な日々の中でも寿司には手を抜かない主人公の蒲焼煮こと、蒲焼だけに貢いでいる大建築家の福建氏が、規模の大きな建物の資料をまとめるため、ある日、福岡市内の「びっくり寿司」に出かけた。

「びっくり寿司」と聞いていた蒲焼煮は、入ってみるとそこは謎の空間だった。お寿司には驚きと感動の要素が詰まっていた。回転せず、目の前で職人が握ってくれる「目撃寿司」、飲み物と一緒に楽しめる「ドリンク寿司」、口にすると一瞬で消える「消しゴム寿司」というものもあった。

それにしても、一番ユニークだと蒲焼煮が感じたのは「早食い寿司」だった。上に寿司ネタが乗ったお皿をジグザグに並んでいるリレーのようなものが回ると、客同士がスタート合図を待たずに一斉にフォークで取り合ってしまうのだ。福建氏はため息をついて、財布から新幹線ごと出ている現金を『早食い寿司』に捧げた。

そして、蒲焼煮はその後、口に入ると激辛になる「マジックペッパー寿司」を食べ、口をピリピリさせた。職人の羽ばたきの隙に、鯛を当てるゲームやおみくじで、夏休みの子どもたちが盛り上がっていた。

「旨いに決まってるぜ！」と福建氏が言うと、蒲焼煮はじれったく感じた。

「そう言えば、お寿司を食べると幸運になれる？って噂じゃなかったか？」と蒲焼煮が口にすると、福建氏は「いや違う。真実はこうだ」と言い、場を盛り上げた。

蒲焼煮は、自分がなかなか気づかれない才能の持ち主であることに軽く自己嫌悪が生まれていた。しかし、福建氏のウィットにより、まったく落ち込まず、どこか爽やかな気持ちになり「びっくり寿司」に来てよかったと思った。「寿司は、料理以上に風味を大切にすること」そんなことを素敵な空間で食べる幸せを、彼らの存在で知ったのだった。

■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：6
悲しい：0
夢がある：8
怖さ：0
合計点：19