「異世界ファンタジーロマンス！野口五郎とちくわ様、年齢を忘れた母と感動の再会！」

温泉街に佇む喫茶店「おだんご堂」。そこには、ちくわという名前の青年が働いていた。おだんごのメニューには、ちくわと同じくらい風変わりな名前のデザートがズラリと並んでいる。

ある日、ちくわはおだんご堂にひとりの老人がやって来るのを見かけた。その老人は、明るい笑顔で手を振りながら店内に入ってきた。ちくわが急いで迎えに行くと、老人は5つのサイフを持っていた。

「すみません、こちらはフムップル村から参りましたが、どのお財布が正しいかわかりません。」

ちくわはびっくりして老人の話を聞きました。フムップル村というのは、ありえない名前の架空の村で、その村の住民は人一倍忘れっぽいと言われていました。

「おじいさん、それは大変ですね。でも、ご心配なく。私がお手伝いいたしますよ」

ちくわは老人の5つのサイフを見つめ、ひとつずつ開けていきました。中にはお金のかわりに、可愛らしいイラストが描かれている紙切れや、お守りが入っているサイフもありました。

そのうちの1つのサイフに、お金の束が入っていました。ちくわは完全に正解を見つけたと確信しましたが、老人はそれを見ると深いため息をつきました。

「ああ、サンカク通りのパン屋さんで美味しいパンを買っていこうと思ったんですが、サイフを取り違えてしまったようですね。」

ちくわは考えました。そんなにお金をかけずに美味しいパンを食べさせてあげられる方法はないか。すると、彼の頭の中にひらめきが走った。

「おじいさん、もしよければ、私のお店で焼きたてのパンを召し上がってください。お金はいりませんから」

老人は驚いて目を輝かせました。ちくわはパン屋さんに連絡を取り、おじいさんの大好きなナッツパンを特別に作ってもらいました。

翌日、おだんご堂でパンを頬張る老人の姿があった。「おいしい！少なくとも、ここのパンと同じくらい美味しくて嬉しいです！」と老人は笑顔で言いました。

「それにしても、この店の名前、おだんご堂って変わってますね。でも、美味しいパンが食べられるなら、名前なんてどうでもいい！」

ちくわは笑いながら頭を下げました。「フムップル村のおじいさん、そんなもの忘れていいんですよ！」