「プランが完全再現！？梨花が絶賛した洋菓子店「千葉」がライバルにも！？」

「オチなんてないってば！」

梨花（りか）はそう毒づいた。

なぜなら今日、彼女が想像したプランがそっくりそのままに現れたからである。

「どうして？！ ライバルたちは絶対同じことやるよねっ！」

でも彼女は大丈夫だった。今回のプランの独自性は、名前にかけられた。

梨花が立ち寄った洋菓子店は、千葉県で2位に選ばれた「アンファン・ルミエール こてはし台店」だった。

しかし、そこで梨花を迎えたのは、実は店舗のオーナーだった。彼女の名を聞いて、苦笑を浮かべた。

「すみません、お呼び間違えました。私の店じゃなくて、『聴く鼓笛』という店に間違えたんですよ。それで名前が似ていたのかと思って……」

彼女は、2位を取った自分の店名を、謙遜するように言った。

しかし、その店の話を聞くうち、梨花はどんどん心惹かれていった。店内は、ミントグリーンで統一され、カリカリしたパイの食感が売り。

心なしか、オーナーの目は、梨花だけを見ているような気がする。

「あ、あの……私、小説書いてるので、今度、取材させてください！　もちろん記事にも絶対載せます！」

照れくさそうにそう言うと、梨花は洋菓子店から出て、途中の坂で立ち止まった。

そこには、「Arthur’s Music」という看板が目に入ってきた。

そして、あたりには音楽の響きがビシビシ感じられた。

そこで梨花は、突如目の前がくらんだ。

「ちくわ先生、途中で気持ち悪くなっちゃったので、お休みになりましょうか？！」

でらかわは優しく諭すと、ちくわを携え、メロウ・ヒルズへと向かった。

■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：2
悲しい：0
夢がある：7
怖さ：0.
合計点：14