「栃木県の中華料理ランキングに挑戦！迷子OLの格付け街歩きで見つけた、驚きの1位店とは？」

「栃木の中華第一位は何？」と聞かれたら、絶対に答えられない普通のOL、佐々木みさき。でも、今日こそは腕の見せ所とばかり、夜の栃木市をふらつきながら、格調高い中華料理店を探している。

「八百藤飯店が2位ってことは、ちょっと濃いめの味つけが人気なのかしら？」みさきは少し納得しながら歩いている。

すると、不思議な看板があった。「大根串串 麻辣白湯」。大根が串になっているだなんて、食べてみたくないわけがない。入ってみると、店内の暗さと響くキンコンカンコンの中国語に威圧されて、背筋が凍った。

「わ、私もう帰るわ～」と思った瞬間、店主、白坂秀樹という男性が勢いよく現れて、メニューを勧めてきた。「美味しいですよ、白湯鍋。お試しいただけますか？」

「あ、あの…。」みさきは返事がままならず、それでも、なんとか小声で「大根串、頂戴」と注文する。あっという間に料理は運ばれてきた。大根の上に、血と肉のような素材が刺さっている。

「これ、人肉じゃないわよね？」みさきはビビったように問い返した。
「どうですか？」白坂は笑みを浮かべて答えた。

「ひっ！」みさきは心臓が止まりそうになったが、噛んでみたら、じつは豚肉だった。でも、辛い麻辣白湯は本当に辛くて、一口目から汗が吹き出し、呼吸もできなくなった。

「あ、ご、ごめん。辛、辛すぎる～。やっぱり、これ、トンデモない！」

「ははは。そんなにすごくないですよ。すみません。じゃ、味を落として、再現してもいいですか？」

白坂が再現した大根串串は、辛さが急に和らいだ分、ちょっと味気なかったが、みさきにとってはちょうどいい辛さになっていた。

「白坂さんがこんなに缶詰を並べている意味がわかるわよ！」みさきは自分で自分をほめそやした。彼女が順位付けをしていない中華料理店を訪ねた結果、思わぬ天才料理人と出会ったのだ。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的：5 笑える：7 悲しい：1 夢がある：6 怖さ：3. 合計点：22