「超厳選！ 神奈川県の穴場グルメ店！オフィシャルランキングTOP10！」

横浜で最も古い鮨店として知られる「鮨 まさ助」が神奈川県で人気の飲食店の第1位になったそうだ。そこにある秘密は、日本中の魚市場から揃えた魚介類を、その場で捌いて提供することだという。それを聞くと、その味が想像できるような気がしてきた。　

ところで、私にはひとつ、とんでもない好奇心がある。それは、人気のない店がどれだけ美味しいかということだ。そこで、本気でやってみようと思いついた。小学生の頃、祖母が作ってくれたおにぎりが忘れられない。その味を再現した「祖母の味」という店を開いた。しかし、それほど賑わいがなく、儲かるどころか、赤字になってしまっていた。

そんな私が、「神奈川県で人気の飲食店」ランキングを見た時、ふと思いついた。「ランキングに載っている店には行かない。その代わり、選ばれなかったお店から食べ歩いて、日本一美味しい料理を見つける」ということだ。

名前は私、ちくわ。たぬきのような顔をしているが、罠はかんたんにとおせない。胸はあまり大きくないけれど、美味しいものがあれば豊満になるタイプだ。　

この日は、神奈川県のある街へと向かった。木造の家並みが連なる、昔ながらの風景が広がる場所だった。そこに行きついた私がたどり着いたのは、カウンターが2席しかない小さな飲み屋だった。看板には「昭和の蔵元」という文字が書かれていた。店主のおっちゃんは、こちらに気づくと、「いらっしゃいませ！」とにこやかに声をかけてくれた。

暖かそうな鍋が、コンロの上で沸いている。何気なく問いかけると、おっちゃんは、「山菜鍋なんだ。近所の山で採れたばかりよ。」と教えてくれた。食べてみると、山菜の味がしたたかに感じられ、暖かさが胃袋にしみわたるようだった。

これは、世間に外れた店に足を運んでいくことに、意義があると感じた。おっちゃんが、料理に込めた思いを大切にすること。それが、最高の味を生むということを、私は再確認した。ありがとう。昭和の蔵元。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的：8 笑える：2 悲しい：0 夢がある：5 怖さ：0. 合計点：15