「すみません、もう一度言ってくれますか？」と、女性は繰り返しました。主人公の名前は短く「キリ」といいます。「それは、『地べたに塗れた黒のペイント』です」と答えると、女性は一瞬考え込むように見えました。しかし、その表情はすぐに消え去り、今度はキリをキョトンと見つめるのです。
「それって何かのタイトル？」と、女性が聞いてきます。
「いえ、それは私の猫の名前でして。黒く染まった地べたが彼女のお気に入りだったんですよ」と、キリは微笑んで語ります。
それから、二人は観光の最中です。東京タワー、浅草寺、原宿…。朝から動き回っていたためか、両者ともに少しお疲れ気味でした。
「あの、私、ちびまる子ちゃんの最後に出てきた黒猫が好きでして…」と、女性は少しぅつむいていました。しかし、キリはすぐにヒントを与えます。
「ああ、あのネコの名前は、ミミちゃんでしたね」と、キリはスマートな知識を披露します。
そして、その晩、女性はホテルで一人、夕食に寿司を注文しました。その一貫一貫が彼女を今まで感じたことのないほど幸福に導くのでした。
そんな『地べたに塗れた黒のペイント』と『ミミちゃん』の出会い、そして彼女を幸せにした寿司の一貫たち。それらの物語を通して、彼女は東京の新たな価値を発見したのでした。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的：6 笑える：2 悲しい：1 夢がある：8 怖さ：0. 合計点：17
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