「『京都洋食ランキング』巡りで瑞穂が感動した理由【限定特典あり】」

京都府で人気の洋食ランキングが発表された。山科区に住む主人公、萩原瑞穂（はぎわら みずほ）は大喜びだった。幼い頃から料理好きで、洋食が大好きだ。キッチン瑞穂という洋食レストランが2位に選ばれたことで、瑞穂はこれまでの努力が報われた気がした。

ある日、瑞穂は友人の紹介で京都市内の洋食レストランを回ることになった。彼女はキッチン瑞穂よりもランキング上位のレストランで食事をすることを心待ちにしていた。

最初に向かったのは、百万遍にある「Bistro la Foule （ビストロ・ラ・フォール）」だった。店内は暖かみのある照明で、洗練された内装が一際目を惹いた。瑞穂はメニューを頼んだが、一口食べて、不思議な感覚に襲われた。不満な料理ではないが、自分が普通に食べている洋食とは違う何かがあった。

次に向かったのは、四条烏丸の「Savoie （サヴォア）」だった。店名からしてフランス風の洋食レストランと分かった。入店すると、聞き覚えのあるピアノ曲が流れていた。メニューにはエッフェル塔を模したおしゃれなデザートがあった。しかしながら、つまらないながらも普通のフレンチだった。

最後に向かったのは、瑞穂が心待ちにしていた1位の「Choco Croissant （ショコクロワッサン）」だった。ショコクロワッサンは中之島にある有名店だ。瑞穂は「チーズフォンデュ」と「グラタン」を注文し、期待感を胸に待つこと３０分。しかし、運ばれてきたのは非常に大きなショコラクロワッサンだった。

「す、すみません！　これ、違います！」

瑞穂は店員に訴えたが、店員から笑顔で「オーダーミスでした！　申し訳ありません。」と謝罪されるばかりだった。強引にクリームにフォークを突き刺し、口に運んだものの、美味しさに全く感じることができなかった。

登場する洋食レストラン全てを回った瑞穂は、思い出した。自分が愛してやまない洋食は、「普通の洋食」だったのだ。完璧でも、工夫過剰でも、意外性があっても、瑞穂が求めるのは、ただ「普通の洋食」だったのだ。

■この小説のちくわ様自己採点
感動的：6
笑える：3
悲しい：1
夢がある：5
怖さ：0
合計点：15