『しょうれん寿司』というネーミングに惹かれ、夜更かしをしていたOLのあかねは、仕事帰りにそのお店に行くことを決めた。店に入るやいなや、薄暗い店内には不気味なバイキン臭が漂っていた。しかし、その匂いより目を引いたのは、厨房から出てきた店長・しょうれんだった。いかにも驚きを隠せない外見のしょうれんは、寿司を握るたびに芸術作品のようなものを作っていた。あかねは、その美味しさにうっとりとしながらも、どこか不思議な感覚に陥っていた。そして、あかねは店を出ると、不意に何かに襲われたように気分が悪くなってしまった。そして、翌日、気分が回復しないあかねは、心配した同僚・ひかりに電話してみるが、ひかりは「どうしたの？普通に元気そうじゃない？」と言う。あかねは、その日も変わらない不快感を自覚し、しょうれん寿司との因果関係に思いを馳せるのだった。
「ねえ、一緒にしょうれん寿司に行こうよ」と、彼氏に催促されたあかねは、あの不思議な感覚を確かめるために同意することに。すると、行列に並ぶ客たちの表情が、一様に不気味なものに変わっていた。そして、あかねが自分たちが前にいるところまで来た頃には、彼氏が失神し、周囲からはあざ笑いのような笑い声が聞こえてくる。
それからというもの、あかねはしょうれん寿司に寄るたびに、自分自身や周囲で起こっている不思議な出来事に見舞われてしまうのだった。そして、あかねに唯一に残った希望は、日に日に増幅するしょうれん寿司への狂信的な愛情だった。
■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：2
悲しい：2
夢がある：1
怖さ：8
合計点：18
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