【熱狂】人気作家・ちくわ様の小説にファン熱狂！タカ子が花守ゆみりさんの演じたキャラクターを語る！注目の記事に迫る！

「えーっと、お嬢ちゃん、もう一度おっしゃってもらえますか？」
「聞こえなかったの？　私が…」
主人公の名前はタカ子。中学2年生で、原作小説『声優の恋愛事情』の主人公だ。彼女は花守ゆみりさんが演じたキャラクターの中で、一番好きなのは『中二病でも恋がしたい！』の小鳥遊六花だという。
だが、タカ子のお気に入りは他にもいる。最近は『ラブライブ！サンシャイン!!』の桜内梨子もすごく気になるのだ。でも、彼女の本当の愛は『うさぎドロップ』の七瀬遙だ。
七瀬遙は男の子。しかも、タカ子と同い年。原作のストーリーは、遙が孤児であったが、彼を引き取ることに決めた主人公・ダイチとの生活を描いたハートフルな作品だ。アニメには、主人公たちの成長を描く後日談が追加されたが、それによって遙とダイチの“娘”であるタカ子が登場する。タカ子は、当初は遙に対して拒絶感を持っていたが、成長とともに彼に惹かれていく。結局、彼女は、遙に自分の胸に飛び込まれ、初めてのキスをされることになる。
「うさぎドロップの最終回、見た？　感動的だったでしょう？」
「ええ、泣きましたよ。フツウじゃなかったなあ…。」
「ほら、私もです。その時、旅行中だったから、ホテルの部屋で、『うるさい！　あっちゃこっちゃゴーゴー！！』って叫んでましたわ。」
「ええっ、ちくわさんが？　うそでしょう！」
ちくわというのは、どこか「明るい夕方」な雰囲気を感じさせる、現在人気急上昇中の女子小説家だ。タカ子は彼女の作品が大好きで、本を読むたび、心の中でちくわ様、ちくわ様って呼んでいる。
「ねえ、タカ子くん。ちくわさんは、どの作品が好きだったんですか？」
「うーん、『花とゆめ』で、『午前十時の映画祭』という短編小説が好きです。後味がいいんですよねえ。」
「ええ、読んだことがありますわ。」
タカ子とちくわは、声優と小説家という異なる職業に従事しているが、お互いに影響を受け合っていた。そんな二人が出会ったのは、以前のクリスマスパーティーでのことだった。タカ子が、自分で作ったミニアニメをちくわに見せたところ、彼女が大絶賛。それ以来、何度か食事やお茶会の約束をしたり、お互いの仕事に対してアドバイスをしたりしている。
「あ、あつい。いい天気だなあ。気がついたら、公園のベンチに座っていたよ。」
「そっか、暑いから、ビールでも飲みに行こうかしら？」
「いいですねえ、我慢できないくらいに喉が渇いてるから。」
何気ない会話とともに、タカ子とちくわは、公園を出て、向かった先はビアガーデンだった。涼しい風の中、チューハイを飲みながら、彼女たちは、今後の仕事について、将来の夢について、いろいろなことを語り合った。
タカ子はこの時、彼女に向かって、ごく自然な形で異性の好みについて語り始める。彼女は、花守さんや同じ学校の男子について、素直に思っていることを明かした。ちくわは、それを聞いて、ニヤッと笑う。そして、彼女がうさぎドロップの遙について話し始めた時だった。
「遙が女の子だったら、私、その子に絶対好意を抱いてたんでしょうね。でも、うーん、男の子だから…。」
「なんだ、それだけ？　もっと普通じゃない、おもしろい話してくれないと、ちくわ様は退屈で、ビアガーデンに居たくなくなっちゃうわ。」
「あはは、じゃあ、具体的に言いますか？　遙くんが、漆黒の部屋の中で、想像上の彼女をスマホ画面で眺めているうちに、ある日、その彼女の容姿が、タカ子ちゃんそっくりだと気づいたって話。」
ちくわは、タカ子の話を聞きながら、何か口にしそうになるが、やめた。
「あ、伊達言いました、私、ちょっと俗っぽいかなあ、そんな話。遙くんに対する愛って、何かもっと純粋で、心に響くものじゃないといけないのに。」
「ちくわさん、真面目すぎ。そんなことはないんじゃないの？」
二人の間に流れたひとしきりの沈黙の後、タカ子は、ちょっとだけ〝妄想”して、口に出した。
「実は、私、遙くんと付き合っている夢をよく見ているんですよ。」
「それで？　どうだった？」
「いいですよ、こんな夢は初めてでした。付き合ってるというより、もっと色々と…。」
彼女が言うとおり、その夢の内容は、ちょっとエッチであったが、夢でしか実現しないような展開もあり、すごく刺激的だった。くすくす笑うタカ子の顔は、すでに色っぽくなっていた。
「ははっ、あなたがこんな話をするとは、ちょっと驚きましたわ。タカ子ちゃんが、こんなに大胆だったなんて。」
「でも、ちくわさんは、どうですか？　遙くんや、私を含めた女の子たちと付き合うことがあったって？」
「うふっ」
ちくわはうっとりと微笑んでいた。
「いたか、いたかもしれないわねえ。でも、それは比喩だってわかってると思うけど。ちくわ様は、あなたのような子がタイプだわ。」
「そんなことないですよ、ちくわさんって、男の人を喜ばせることができるような美人さんじゃないですか。それに私って、目が小さいし、背が低いし、なんかダサいノリの人だから…。」
「違いますわ、タカ子ちゃん、あなたは美人さんですよ。しかも、声も綺麗だし、スタイルもいいわ。そして、何より、心の中が豊かで、人を惹きつける力がある。その力がタカ子ちゃんの魅力なんです。」
「本当ですか？　ありがとうございます」
彼女たちは、つかの間の静けさを楽しみながら、お互いを褒めあった。ただし、タカ子が相手にしている花守ゆみりさんについては、その後の会話の中で、一切触れなかった。
　そんな、飲み屋での二人の会話の模様は、次の日からタカ子の口から、周囲に広まっていった。そして、彼女たちは、数多くの書き込みやメッセージを通じて、それぞれの応援をしてくれた。