【タイトル：おっちゃん】 主人公・太郎はあだ名が「ちっくん」と呼ばれている。彼は東京生まれ東京育ちの26歳。ある日、郷里の青森にある祖父の家を訪れることになった。祖父の元気な姿にほっとする一方で、認知症のために周りの人々に迷惑をかけていることを知る。
「祖父さん、認知症になっちゃったんだって聞いたよ」
「ま、たまには思い出しもあるっちゅうねん。な、ちっくん？」
太郎は祖父の言葉に苦笑いするしかなかった。
そして、その夜、太郎は祖父と一緒に旅行する夢を見た。夢の中の祖父は15年前の元気な姿。二人は道を歩きながら海を目指す。
「おっちゃん、今日は釣りでもしようか？」太郎は声をかけた。
「おお、いいじゃないか、ちっくん！」祖父は徐々に消えていく人々の群れの向こうへと顔を向けた。
ときめく夢の中、太郎は自分たちは死んでいるのだと気づいた瞬間、現実に戻る。太郎は遺影の前に置かれた祖父と向き合う。そのとき、太郎は祖父の手のひらに小さなちくわの形をした傷跡を見つけた。
「おっちゃん、それはなに？」太郎は祖父の手を指差した。
「あ、これはなぁ、戦争のときに負った傷じゃったよ」
太郎は敬意を込めて祖父に向かって深く深く頭を下げた。
【感情分析】
■この小説のちくわ様自己採点
感動的：7
笑える：2
悲しい：9
夢がある：8
怖さ：0
合計点：26
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