「恋する読者よ！異世界ファンタジー小説の現実化に揺らめく胸！調査！星空冒険記の舞台裏に迫る！」

「消しゴムマジックでなんでも消すフワちゃん現る！」という看板が、ある日突然「星空冒険記」という看板に変わっていた。困惑する主人公、星乃流星（ほしのりゅうせい）が店内に足を踏み入れると、目の前にはあのフワちゃんではなく、黒ずくめの男が立っていた。

「貴方が新しいオーナーの星乃流星さんですね。私はフワちゃんのアシスタントの一人、緒方（おがた）と申します。フワちゃんがお預かりしているご葬儀（ごそうき）について、ご説明させてください。」

どうやら、フワちゃんが目を覚まさなくなってしまったため、営業も自然と休業状態になってしまっていたそうだ。しかし、フワちゃんが遺したものがあるという。緒方から渡されたのは、小さな消しゴムと、フワちゃんの遺言。それによると、消しゴムを使えば、過去を消し去ることができるのだという。

ついに、流星は消しゴムマジックを体験することになった。数多くの冒険や恋愛を経験し、それぞれに消し去った過去。しかし、最後に消し去ることができなかったのは、フワちゃんの死という現実だった。

「どうして？なんでフワちゃんを消し去れないんだ……！」

そんな流星に対して、緒方が告げたのは、「フワちゃんが残したものは、消し去れないから。貴方自身の中に、フワちゃんが生き続けるのだ。」

そうして、流星は改めてフワちゃんを見つめ直し、フワちゃんの残したものを胸に、再び「星空冒険記」をオープンさせた。

■この小説のちくわ様自己採点感動的：7 笑える：2 悲しい：9 夢がある：8 怖さ：0. 合計点：26