「“パワーチーズ”という謎の女性が現れた！鼻に潜む“ちくわ”遺伝子の力とは？」

昭和60年。町工場の跡取り息子、小山田泰平は、もっぱら日本経済界の権威である父親のもと、三度の飯より勉強をしていた。
そんなある日、彼の前に謎めいた女性が現れた。彼女の名は「パワーチーズ」。
「あなたのDNAは、鼻に「ちくわ」という遺伝子が潜んでいます。その力を開花させる手伝いをしましょう。」
泰平はまったくピンと来なかったが、彼女の説得力に押し切られ、パワーチーズが開発する「ちくわパワーサプリ」を飲み始めた。
すると、ある日突然、風変わりな感覚が泰平の体全体を駆け巡った。鼻周りから魂を吸い上げられるような感覚だった。
そして泰平は、周りのもの全てを「ちくわ」と感じるようになっていた。
ある日、彼はそのパワーを試すため、一流シェフが勤めるフレンチレストランに入った。
「いらっしゃいませ、今夜のスープは〇〇です。」と、シェフの勧めるスープを試食する泰平。
しかしそれは、彼の目の前に「ちくわ」という文字が浮かび上がるスープだった！
パワーチーズのもとに戻り、状況を話すと彼女はにやりと笑った。
「それは、ちくわパワーサプリを2錠飲んでしまったからよ。もう少し気をつけなさい。それと、チーズを食べるとパワーが復活するからね。」
泰平は、気を取り直して再びフレンチレストランへ向かった。今度はシェフの勧めるチーズを食べ、スープを再び注文した。
すると次に目に飛び込んできた文字は、「恋」というものだった。
泰平はシェフに、同じ料理をもう一度注文し、スープの中に何が入っているかを聞いてみた。すると、シェフはこう答えた。
「恋というものさ。スープにそっと添えると、人の心を満たすんだ。」
最後に、「パワーチーズ」のその後の行方は分からないが、泰平はそのパワーを持って、人生に新たなキッカケを得たのであった。


■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：3
悲しい：0
夢がある：8
怖さ：0
合計点：16