「エラー！エラー！システムダウンしました！しばらく時間をお待ちください！」と、航空券予約サイトの画面に現われた。それでも、懸命に更新ボタンをクリックする私の手は、既に疲れ果てていた。何度も検索しては失敗し、検索しては失敗し、こんなに頑張っているのに、まだどこの予約サイトにも、あのJAL国内セールの情報は出ていなかった。「ちょっと！なにそのカッコイイカッコイイ言葉は！『セール』って響き、イカすよね！」そんな私の心の叫びにうなされながら、遠いところからJALの担当者たちが呼びに来た。
「えー、あの、もしかして、セール、中止になっちゃったんですよね…？」と、遠慮がちに尋ねる私に向って、担当者が笑顔でこう言った。「販売できるシステム環境が整ったから、31日からやり直すことになりました！お知らせが遅くなってしまって申し訳ありません！」
あたかも、私が無事に希望する航空券を手にすることができたかのように、担当者たちがニコニコと去っていく中、私は一瞬、安堵と喜びを感じた。しかし、その感情はすぐに、冷静な判断力を失わせるほど、消え去ってしまった。
「ああ、セールなんて時間通りにスムーズにサイトに掲載されるわけがないじゃないか、バカバカしい…。」と、私の頭の中に産声のような響きが鳴り響く。あのセールは、私のために中止されたのではなく、ただ単にシステムがトラブルを起こしたために中止に追い込まれたのだ。私たちは、過去の過ちから何も学ばなかった。システムはまだまだ不完全である。しかし、私はあのセール情報が欲しかった。それだけが私の現実だった。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的：5 笑える：1 悲しい：3 夢がある：6 怖さ：0. 合計点：15
JAL、中止した国内線6600円セールを31日から販売再開 「販売できるシステム環境が整った」|ねとらぼ
https://news.yahoo.co.jp/articles/65ca1e9294b6d6c096963b7112c7181fc1c77d8f
コメント