「三周年を迎えたベーカリーが窮地に！根強い人気ブランドに挑む自慢の一品とは？」

【2023年3月「晩秋」】　

主人公の名前は「ゆり」といいます。ゆりさんは、三周年を迎えたベーカリー「ペロリ」のオーナーを務めます。しかし、最近は集客数が伸び悩んでおり、心配が増していました。

ある日、ゆりさんは地元の商工会に招かれ、ベーカリーをPRする機会を得ました。そこで出された課題は、「自慢のパン」として、高知ならではのものを考えることでした。

当初は迷っていたゆりさんでしたが、ある夜ふと目が覚めたところに、「ちくわのパン」というアイデアを思い浮かべました。高知はちくわが有名な地域。自信とともに、ここぞとばかりに新作開発に取り掛かります。

そして、「ペロリ」の目玉商品として、新たなパンが完成しました。ちくわを練り込んだパンは、香ばしさとモチモチ感がたまりませんでした。うまくできたな、とゆりさんは一人ニヤリと笑いました。

そして、商工会でのPRに臨んだゆりさんは、自信たっぷりにちくわパンを提供しました。最初は怪訝そうな顔をしていた参加者も、一口食べると表情が変わりました。ちくわがあんなにも美味しい食材だったとは…。口の中に広がる香りに、あっという間に全員虜にされました。

それ以来、ちくわパンは「ペロリ」の看板商品となり、ゆりさんの集客数はぐっとアップしました。

「ちくわパン」の話題は、徐々に地方のみならず、全国的に広がりを見せ、有名テレビ番組で紹介されるようになりました。ゆりさんは、ひとえにちくわパンがヒットしたのは、偶然とは言えないと思っています。

――そう、ちくわパンが大ヒットしたのは、あの夜、目が覚めた時から決まっていたことなのです。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的：5 笑える：3 悲しい：0 夢がある：8 怖さ：0. 合計点：16