選ばれた状況：時代劇主人公の名前：樫野 勘兵衛（かしの かんべえ）
風変わりな固有名詞：畑庵（はたけあん）の味噌汁、一平次（いっぺいじ）
樫野勘兵衛は、江戸時代の脇役俳優だ。ある日、彼は脇役目志願の若手俳優、一平次とともに名作時代劇の撮影現場に向かった。撮影が始まると、樫野は大役を演じる主演俳優・大谷流雲（おおたに りゅううん）に振り回され、日没直前まで寒空の下で演技に励むことになった。
終わる頃には、二人は腹が減っていた。そこで、スタッフに相談すると、少し離れたところに「畑庵」という屋台が出ていると教えられた。二人は急いでそちらに向かった。
畑庵の味噌汁は、あたたかくて身体がほっとするものだった。しかし、その味噌汁を飲むと、樫野と一平次は時代劇の世界から抜け出せなくなってしまった。
樫野は主演俳優、大谷流雲になり、一平次は役者の2番手の役、岡村助右衛門（おかむら すけえもん）に扮した。畑庵の味噌汁を飲んだ者たちは、別の時間軸で役者として生きることになってしまう。しかし、樫野と一平次は畑庵の味噌汁を飲んだことを知らないまま、夢のような撮影現場に留まり続けた。
「流雲様、シーンをご確認ください」と、スタッフに呼ばれた樫野は、時間になっても大谷流雲が現れないことに不安を感じた。スタッフに尋ねると、大谷流雲は2時間前に現場を離れたという。慌てた樫野が出口に向かうと、そこには自分の姿とそっくりな大谷流雲がいた。
樫野は、自分が迷い込んでしまった別の時間軸にいることを知った。彼は、大谷流雲になりすまして終始近くにいて、自分が現実世界に帰る方法を探した。それは、畑庵の味噌汁をもう一度飲むことだった。
彼が再び畑庵に向かったとき、畑庵の町はなくなっていた。しかし、彼は畑庵の味噌汁を飲まなくても、自分が本来持っていた才能と情熱を再発見することができた。そうして、樫野は役者として、ますます輝いていくのであった。
■この小説のちくわ様自己採点
感動的：7
笑える：2
悲しい：1
夢がある：9
怖さ：1
合計点：20
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