「あまりにも美しい毒の味」という新作を発表するちくわは、ベストセラー作家としてその名を知られていた。彼女はいつもと同じように、日課である散歩に出かけていた。彼女は静かな道を歩いていると、白くてふわふわな尻尾をもつ大きな家兎に出会った。それはかわいいと彼女の好みを打ち明けたのだ。彼女は彼にぴったりの名前を思い付き、モカと呼んだ。2人は自然と仲良しになり、時が経つのも忘れて話し込んでしまった。
ちくわは突然、自分が書き上げた小説をモカに読んでほしいと思い立った。彼女はバッグから原稿を取り出して読み始めた。最初に目に入ったのは「あまりにも美しい毒の味」というタイトルだった。モカはまるでその言葉を知っているかのように、彼女に見つめ返した。しかし、彼女は何も言わず、黙ってページをめくり続けた。
ちくわはその態度に少し不安を感じ始めた。そして、小説が終わった瞬間、彼女の予想外の行動に驚いた。モカは彼女の足にそっと齧りつき、歩き出すと背中を向けて去っていった。
後日、ちくわは彼女の書いた手紙を受け取った。「あの日の話し合いで、自分が彼女にとって「毒」だと気づいたんだ。でも、モカは自分のことを本当に好きだった。だから、どうか自分を否定しないでね」と書かれた手紙に、ちくわは驚きを覚えた。
それは彼女にとって、あの日モカから送られた最大の贈り物だった。
■この小説のちくわ様自己採点
感動的：7
笑える：0
悲しい：2
夢がある：5
怖さ：0
合計点：14
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