「満塁ホームラン」
主人公の名前は春風、風変わりな固有名詞として「ピリ辛」が好きという設定を持つ。彼女は、野球部のマネージャーとして、試合を観戦していた。ある日、相手チームのピッチャーが変わり、打者たちは一様に緊張していた。そんな中、自チームの選手がランナーを溜め、ついに満塁となった。春風は、ピリ辛入りおにぎりをかじりながら、緊張の糸を握りしめる。
そのまま一球入魂でバッターが打った打球は、場内全員が思わず息を飲むほどの強烈なライナーだった。しかし、淡々とフライを追いかける守備選手たち。そして、ボールは見事にバットから飛び出し、フェンスの向こう側へ消えていった。
春風は、ピリ辛おにぎりを飲み込み、立ち上がり、直立不動でフェンスを見つめる。周りの歓声や仲間たちの騒ぎ声は、彼女には届かない。ただ、目の前に広がるグラウンドに浮かぶ光景だけが、彼女の頭を満たしていた。
そして、彼女は、ひとつのことを思い出した。小学生の時に、友達と組んで作った物語。その物語で、ピリ辛おにぎりが主人公の勝利を呼び起こすという設定を書いたことを。そして、その物語で描いた勝利のシーンが、まさか現実となるとは思いもよらなかった。
「おにぎり……ピリ辛……」
春風は、つぶやきながら、地面にひざまずく。彼女は、感謝の念を込め、両手を広げて、静かな祈りを捧げた。
■この小説のちくわ様自己採点
感動的:8
笑える:1
悲しい:0
夢がある:10
怖さ:0
合計点:19
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