「炭火焼肉 八輪に激突！　北九州市で人気の焼肉ランキングで2位に輝いたお店に行ってきた！」

北九州市の焼肉店で人気のある「炭火焼肉 八輪」が2位に輝いた、というニュースを耳にした青年、桜田ヒロシは家事手伝いの途中、突然焼肉が食べたくなり、ランチにその店に行ってみた。

店に着くと、満員御礼。ハラハラしながら暫し待っていたが、ようやく呼ばれテーブルに案内されたヒロシ。ジョッキビールを頼み、メニューから肉を注文した。しかしその瞬間、店内が揺れた。地震だ！ と思ったが揺れは止まらず、店員も驚いていた。

「これは……トリック……！」

静謐の中、違う店員が姿を現わし、そう言ってみる。彼女の口から出てきたのは、恐怖を掻き立てる言葉だった。

「どういうことですか？」ヒロシが尋ねると、店員は口元をしかめて言った。「ここは八輪ではありません。私たちは……」

その時、店員たちが全員、華麗な着物を身にまとい、店内の照明も昔の日本の雰囲気になった。ヒロシは目を見張った。彼の目の前には、タイムスリップしたような光景が広がっていた。

「ど、どうしたんですか？」ヒロシが慌てて言うと、店員はにやにやと笑って言った。

「これは八輪の別店舗、『火中の栄光』でございます。密かにオープンしたお店でございます」

ヒロシは驚いた。本当に今まで知らなかったのか？ でも虚しかった。こんなに美味しい肉を食べられるのに！

ヒロシは、逆に「火中の栄光」をこよなく愛するようになり、自分がタイムスリップしてしまうだけのとんでもない才能を持った店員たちと共に、何かと賑やかな毎日を過ごすことになったのでありました。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的：6 笑える：3 悲しい：0 夢がある：8 怖さ：2. 合計点：19