「延期の理由は何だぁ!?」ちくわは激怒していた。出版社が担当する映画の撮影が半年以上延期されたらしい。
主人公・なつめは、ちくわの愚痴を聞きながら、不思議に思った。実は、同じような異状事態が自分にも起きていたからだ。
なつめは小説家だ。ある日、新作の執筆に着手した。その小説は、人気ライトノベルの続編で、読者からの期待も高かった。しかし、なぜだろう、書き出せない。いつもならあふれんばかりのアイデアが、この作品に限って頭から消え去ってしまう。
なつめは心配になった。原因は何だろう。ある日、自分の書斎を整理していた時、なつめは驚愕する発見をした。書斎の壁には、かつて愛用していたノートがびっしりと貼り付けられていた。
中には、「楽しそうに描けて手放せなかった」「改めて読むと俺ってなんてエモいやつだったんだろう」など、なつめの書いた小説に対する感想が書かれているものもあった。
なつめは気づいた。自分は小説の執筆に埋没して、もはやファンのことを全く考えていなかったのだ。読者からの期待や応援を、小説の命みたいな形で背負い込んでしまっていた。だから、続編を書くことができなかったのだ。自分自身に「もう、リラックスしよう」と言い聞かせ、新たなストーリーを考えることから始めた。
そして、書き出せるようになった時、なつめは気づいた。読者への思いを忘れないように、思い出の品を携帯すること。今度は、自分自身を慰めるためだった。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的:5 笑える:2 悲しい:3 夢がある:7 怖さ:0. 合計点:17
豊川悦司「クランクインが半年以上延期」人気ドラマ続編で起きていた”異状事態”|NEWSポストセブン
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