「ザロスト」と聞いて、主人公の野口真琴はすぐに思い出した。あれは、小学校の遠足で訪れた山奥の廃校舎だった。そこにあった不気味な壁画「ザロスト」が、彼女たちを魅了していた。そんなこともあって、現在は推理小説作家として活躍する彼女は、新作のプロットにその名前を拝借することにした。
舞台は今回も山奥の廃墟。主人公の名前は矢口智子。学生時代は真琴と仲が良かった。ある日、智子は遺書だけを残して失踪してしまう。数日後、彼女が滑落事故で亡くなったという通知が届く。真琴はその真相を追い、智子の遺留品であるイカリのキーホルダーを手がかりに彼女が死の直前までいた場所を訪れる。
すると、そこには智子が描かれたような「ザロスト」の壁画があった。その壁画が、智子と真琴の運命を狂わせるカギを握っていた。
意外性のあるストーリーでありながら、ラブロマンスの要素もうまく盛り込んだ作品に仕上がった。ラストのオチで、智子が生きていて真琴と再会するという展開に、思わず涙がこぼれた。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的:9 笑える:0 悲しい:8 夢がある:2 怖さ:5. 合計点:24
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