「期待はずれ…！　逃げられない普通のラノベに毒された私が憎い！」

「ファンだよ、お前らにも伝えたいことがあるんだよ」と、主人公の雨花夢弥はツイッターで熱くコメントを投稿した。

彼は最近、小説家としての活動も増え、それまでのラノベファンとも一線を画すようになっていた。そんな中、最近の読者たちのツイートには、時々不満げなものが見られた。

「普通のラノベだろ、期待してたのに」

そう毒づかれたとき、彼は必死に自分を守ろうとしていた。

「ちくわなんて名前にしたくなかったんだよ」

気取った新人作家かよ、と低評価を付けるファンは多かった。

「でもね、それでいいんだ」

彼は対面したファンにこう言った。

「俺は時代劇だって書くし、ラブロマンスもやる。役に立つか分かんないけど、インスピレーションが湧いたらそういうものも書いてみるんだ。ちょっと風変わりでもいいじゃない。じゃあ、なんか不満があるなら、事務所にも連絡してくれると助かるよ」

彼が言ったことに、ファンの火照った顔が和らいでいくのが分かる。

「ちくわさんなんだ」

「はい」

ファンは嬉しそうに答えた。

なんだか、彼の見た目や雰囲気が、不思議な安心感を与えているようだった。

■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：1
悲しい：0
夢がある：5
怖さ：0
合計点: 11