「美味に感動！　新婚の大食い小説家が大絶賛のラーメン」

新婚の大食い小説家・ちくわ菜穂子は、今日も執筆に没頭していた。彼女が愛することは、小説を書くことと大食いだけ。そこで、祝福のコメントを残した有名な大食いタレントたちにインスピレーションを受け、新作のアイデアを構築することにした。

「フー……、こんなに美味しーいラーメン！　食べていたら思わず感動してしまったわ……」

「あら、蒼木健介先生の最新作、読みました？　解説文が美味しそうで、ついついおにぎりを一狸押し込んでしまいましたわ」

「わたくし、竜恵子ですけど、昨日新婚生活を始めて、朝からカレーライスを作ったわ。でも、途中で食べながら犬を散歩させたから、炊飯器がスイッチオフになったみたいで、硬めに炊けちゃって。でも、美味しいものは美味しいって気持ちで食べたら、実は全然良かったんですわ」

変わり者揃いの大食いタレントたちのコメントを聞いているうちに、菜穂子は自分が新作に取り掛かれる気がしてきた。でも一つ問題があった。そう、彼女の小説にはまったく大食いの要素がなかったのだ。そこで、大胃袋の彼女は、今度は小説に大食いを取り入れることを決意した。

「……そして、トマトジュースをグワッと一気に飲み干した！」と、勢いよくキーを叩きながら、彼女は小説を書き進めた。すると、物語に登場する主人公・浩太郎は、新婚生活の中で妻と共に大食いに挑戦することに。彼らは、沢山の食材をたんまりと入れた大きな鍋で鍋パーティーを開催した。ここで、菜穂子は「鍋源兵衛」という名前を考え出した。これは、彼女が普段使っている栄養士監修の食材を扱う通販サイトからとった名前だ。

そこへ、突然現れた犯人グループが鍋パーティーを襲い、食材を全て奪い去った。主人公は、妻と共に取り残された豆腐とキャベツだけを鍋で煮込み、意外な美味しさに感動する。そんな展開を菜穂子は描いた。

「ふふふ、これで大食い小説もたまにはいいんじゃないかしら」と、彼女はニヤリとしながら打った文字を眺めた。まだ、未完成ではあったが。しかし、なんとも満足な気持ちがして、菜穂子は一夜を明かしたのだ。そして、彼女の想像を超えた反響が小説に集まり、大ヒット作品となった。

■この小説のちくわ様自己採点
感動的：5
笑える：4
悲しい：2
夢がある：8
怖さ：0
合計点：19