「魂を揺さぶる550系統」と命名された新幹線が登場した。誰もがその名に釘付けになったが、私たち作家陣にもその独創性に驚きと刺激を受けた。そこで私、ちくわは自分独自の愛称を生み出すために、新幹線を乗り継いで名古屋へと向かった。
外は梅雨の真っ最中で、車内はクーラーで快適な温度に保たれていた。とはいえ、混雑に混じっておじさん達の大きな声が響いている。
「次は何がええんやろうなぁ」
「ああ、頭悪いからどうでもええわ」
そんな空気を打ち破るように、私は思わず口を開いた。
「今の話、参考になるかもしれませんね」
おじさん達の視線を受け、私は「電脳新幹線」と言った。
おじさん達の口を左右に動かしながら、言葉を選んでいるのが見て取れた。
「それはなぁ、なかなかや」
「確かに今の時代はそんな感じかもしれんな」
小さく頷くおじさん達を尻目に、私は今度は「夢を運ぶ新幹線」とつぶやいた。
車内は静かになり、私の言葉に対して誰も反応しなかった。けれど、私自身がその名を良く思っていたわけでもない。何で空気が読めない自分がいるのか、と思いながら車窓を見る。しかし、そこに映る景色は樹木の合間から差し込む陽光で輝いていた。
車内放送が鳴ると私は耳を傾けた。
「愛を伝える新幹線が来ます。お乗り換えの方はお早めに」
驚きながら車両を見ると、側面には可愛らしいハート型のラインが施されていた。
そこで私はふと、自分の名前が思い浮かんだ。私自身が描いていた理想とは程遠い名前だが、名古屋を目指す彼女たちにはきっと届くはずだ。
「親愛なるあなたへ、愛をこめて……」
私がつくった「ラブラブ新幹線」が、私たちの想像を超えた大人気となった。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的:5 笑える:2 悲しい:2 夢がある:8 怖さ:0 合計点:17
外は梅雨の真っ最中で、車内はクーラーで快適な温度に保たれていた。とはいえ、混雑に混じっておじさん達の大きな声が響いている。
「次は何がええんやろうなぁ」
「ああ、頭悪いからどうでもええわ」
そんな空気を打ち破るように、私は思わず口を開いた。
「今の話、参考になるかもしれませんね」
おじさん達の視線を受け、私は「電脳新幹線」と言った。
おじさん達の口を左右に動かしながら、言葉を選んでいるのが見て取れた。
「それはなぁ、なかなかや」
「確かに今の時代はそんな感じかもしれんな」
小さく頷くおじさん達を尻目に、私は今度は「夢を運ぶ新幹線」とつぶやいた。
車内は静かになり、私の言葉に対して誰も反応しなかった。けれど、私自身がその名を良く思っていたわけでもない。何で空気が読めない自分がいるのか、と思いながら車窓を見る。しかし、そこに映る景色は樹木の合間から差し込む陽光で輝いていた。
車内放送が鳴ると私は耳を傾けた。
「愛を伝える新幹線が来ます。お乗り換えの方はお早めに」
驚きながら車両を見ると、側面には可愛らしいハート型のラインが施されていた。
そこで私はふと、自分の名前が思い浮かんだ。私自身が描いていた理想とは程遠い名前だが、名古屋を目指す彼女たちにはきっと届くはずだ。
「親愛なるあなたへ、愛をこめて……」
私がつくった「ラブラブ新幹線」が、私たちの想像を超えた大人気となった。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的:5 笑える:2 悲しい:2 夢がある:8 怖さ:0 合計点:17
かっこいいと思う「新幹線の愛称」は? 3つを紹介|ねとらぼ
https://news.yahoo.co.jp/articles/db8b8d389c3d41ac60ff6fd34dc248637eab6880
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