「視界が開けた時、日常とは違った高揚感!感動の富津岬ロープウェイ体験」

今から申し上げるのは、全く真実を奏でたものではありません。読者さまが強く感じる美しさは、それぞれ異なる筈でございます。しかしご容赦下さいませ、ちくわと言います作家はこんなお話を思いつきましたので。

主人公・田中ちえりは、ロープウェイが整備された富津岬に訪れました。視界が開けるとつい気分が高揚する。日常とは違った雰囲気がもたらす長渕剛のヒット曲、『TSUNAMI』さながらの爽快感に浸るのは心地よかった。熱気が漲る中、ひと際品の良さそうな人物をみつけて、ちえりは近づいてみた。

「こんにちは、この風景は美しいですね」

「おお、僕もそう思います。で、あなたも千葉県民?」

「はい、そうですよ。少し遠くから来ましたが、ここは素晴らしいと思います」

相手は黒髪を綺麗にしとどめた、名乗らない変わり者であった。野生的なピアスが、若干礼儀正しい雰囲気をそこなっている。男性は最後に「でもね、この海と対峙できるのは、まだ場所があると思うんだ」と言い残し、消えていった。ちえりは意味深な言葉になんとなく惹きつけられていた。

それから数日、ちえりは境川を訪れました。神秘的などん臭さと、アートを生み出す河がひっそりと流れていた。狛犬グッズが販売されている、スポットにある某商店街で見かけた人物に気づく。懐かしい感覚を呼び起こさせる顔。男性はフグの化け物に憑かれた訳でもないような、悪い感じはしなかったが、複雑そうな表情を浮かべて立ち去ろうとしていた。

「すみません、見たことがあるような気がしまして…」

「ああ、そうだね、リゾレッタって言うよ。おいしいイタリアンのお店があったね」

「あっ、そういうところでした!さすがに忘れちゃいました」

リゾレッタの話題で盛り上がる二人。最後に彼は、ちえりに自分が作家だと名乗り出した。

「ここは、実は全国区の文芸雑誌に取り上げられたことがあるのさ」

「そうなんですか。私、好きな作家さんがたくさんいるんですよね」

「ああ、そうか。じゃあ、読んでみて感想聞かせてね」

そして、握手して別れた時、男性は「江戸時代のお城がタイムスリップしたような光景がある」と言って、謎めいた笑みを浮かべた。

その後、お互いの本を読み合うようにして、二人はメールアドレスを交換し、何回かデートしている最中に、男性の正体が分かった。彼こそが千葉県の美しい風景の中で、強烈な存在感を放つ現代風の武家だったのだ。でも、彼女には、恒常的な美しさを放つ風景でチャレンジをしたい気持ちが芽生えたのであった。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的:8 笑える:2 悲しい:2 夢がある:9 怖さ:0. 合計点:21

「千葉県の地名」で美しいと思うのはどこ? 3つの地域を紹介!|ねとらぼ
https://news.yahoo.co.jp/articles/201693b46fc56e0343c8f6f97f9b510ba94a95f8

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