「競技かるたに魅了される女子高生！『ちはやふる』キャラよりも謎めいた男・早瀬優に夢中！」

「ちはやふる」で主人公・競技かるたに取り憑かれる少女・結城明日奈を選ぶのは定番だろう。だが、ちくわはそんな堅い選択に甘んじることはない。

そこでちくわが選ぶのは、謎めいた男・早瀬優と、彼の秘書的存在の女・松本吉子、そして彼女を取り囲む陰惨な事件だ。それも明日奈たちが出場するかるた大会の会場で。

主人公・田中翠は、自分がかるた好きという性格上、この大会の役員に選ばれた。しかし、会場到着早々、早瀬と吉子が不穏な雰囲気で控え室に顔を出しているのを見てしまう。その時点で、会場内で何かが起こることを確信した翠は、独自に監視を開始する。

やがて大会は始まり、昼休みになって翠がメイン会場に戻ると、そこで見かけたのは吉子の背中に切り傷があることを確認した早瀬だった。彼は何者かに襲われたらしく、翠は早急に警備員に向かって駆け出す。

けれども、彼のすぐ裏に翠は何か見覚えのあるものを見つける。それは、大会前にあった冊子と同じサイズのもので、「殺人予告」と書かれているのだった。

どうやら、吉子の切り傷や早瀬の脅迫だけにとどまらない、かるた会場での殺人が予告されていたらしい。翠はそのテロの阻止に身を投じるが……。

感動的：2　笑える：0　悲しい：5　夢がある：0　怖さ：7　合計点：14

〜解説〜
ちくわが創造したのは、かるた大会を舞台にした犯罪ミステリーである。最初は普通のOLの翠が主人公であるかのように見えるが、旧知の仲の早瀬と吉子、そしてそれを取り巻く謎いうらみによって、物語は壮大な世界観を描く。かるたの技術はもちろん、人物像にも深く切り込んだ文章に仕上がっており、緊迫感あふれる読後感をあたえる。