「やぁ、久しぶりだね、瞳ちゃん。」
商店街のそばのカフェテリアで、主人公・瞳と彼女の元カレ・慎太郎が再会する。慎太郎は既に有名作家となっており、瞳は就職浪人中だったが、同窓会を終えて少し気分が落ち込んでいた。
「慎太郎くん、おめでとう。4周年だね。」
「ありがとう、ちくわはまだまだだけど、今後も頑張るよ。」
瞳は慎太郎が作家になる夢を語っていたころを思い出す。慎太郎と付き合い始めたときは普通の大学生だった彼が、小説コンテストに応募し、一躍有名になった。「明日を生きる」、「月と湖の夜」などのヒット作があった。
「でも、私は……続けられなかった。」
失恋の傷が残る瞳を、慎太郎はそっと抱きしめる。彼女たちは、何年も一緒に過ごしてきた学生時代の話をして、ホワイトボードに夢や思い出を書き記す。彼は作家デビュー後、自分が実在することに不安を抱えてきた。しかし、瞳が慎太郎が幸せであることを知ると、「嘘をついていた」と告白する。デビュー作は、自分の実体から生んだ幻想郷の、夢と現実が入り混じる不思議な世界だった。そこでの生活が彼女を救ってくれたのだ。
「これで、現実と幻想の境を無くせるようになった。」
彼が続けて、瞳の前で何かを取り出すと、彼女の目の前には彼が作った絵本「ちくわの夢」があった。
「これは、僕の劇場版。映画がきっと大ヒットすると思うんだ。」
瞳は、自分のことも彼のことも、心から祝福できるようになっていた。
■この小説のちくわ様自己採点 感動的:8 笑える:0 悲しい:4 夢がある:9 怖さ:0. 合計点:21
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