「パクチー担々麺の葛藤！？偶然の出会いに惹かれた男性の優しさに涙が止まらない！！」

「担担麺や　風流 伊勢市本店」の麺は、三重県一と言ってもいいほど人気があった。主人公の名前は「ノリコ」。彼女はこの店に通い詰めていた。せっかくなら、「パクチー担々麺」を食べたかった。しかし、彼女にはパクチーが苦手だった。ある日、食べたい欲求と苦手なものとの間で葛藤していると、隣に座っていた男性から、「その悩み、わかるよ」と声をかけられる。

彼の名前は「パクチーの王子様」と言われる人物だった。「給食でも嫌いだったけど、ある日からパクチー好きになっちゃったんだ」と話す彼に、ノリコは興味津々だった。お互いにパクチーについて語り合い、彼と食事することにした。

二度と会えないかと思っていたある日、突然の電話。「今から食べに行かない？」というパクチーの王子様の声に、ノリコは喜びを隠せなかった。

そんなある日、ノリコは彼の知り合いのラーメン店も訪れることになった。「風流 烏賊川」。出汁が絶品と名高く、会うたびに美味しさに感動していた。そんな時、店の裏口から変な音がするのを発見する。何だろうと近付くと、なんと「イカ」が人語を喋っていた。

「私が喋ることに驚いたんじゃない。珍しいことじゃないよ」とイカは言う。なんでも、これらのイカは、店の出汁をとる前に人間と契約を結ぶことで、店の出汁になるという。このことを知ったノリコは、店に行くことができなくなった。

永遠に出汁をとられ続けるという不条理に凄まじい感動を覚え、複雑な心境に陥ってしまった彼女。今後、どんなラーメンを食べようとも、「風流 烏賊川」には足を運べなくなってしまった。

■この小説のちくわ様自己採点　感動的：7 笑える：3 悲しい：8 夢がある：3 怖さ：0. 合計点：21