「異世界作家・ちくわ様が挑む！山田裕貴くんとのキャンプデートは果たして夢か現か？」

ある日のこと、長谷川さやかは気分転換にキャンプに行ってみようと思い立ち、友人たちを誘った。友人たちは全員快諾し、グループLINEでチェックリストを共有しあっていると、さやかはふと口を開いた。「知ってる？ 『木曜日のユカ』に出てる山田裕貴くんって、キャンプ好きだって聞いたことあるんだけど、一緒に行ったら楽しそうじゃない？」

友人たちは大興奮。確かに、さやかの言う通り、山田裕貴くんはアウトドア好きで有名だった。話が弾み、さやかはすぐに山田裕貴くんの所属事務所に連絡を取った。あまり期待していなかったのだが、意外にもOKが出た。友人たちは大歓喜。

そして、迎えたキャンプの日。さやかと友人たちはキャンプ場に到着し、グルグルとテントを張り始めた。そんな中、山田裕貴が到着した。さやかたちは大興奮で、山田裕貴と一緒にBBQを始めることにした。

すると、突然山田裕貴が「何かヘンだな……」と言い出した。声色が急に凍り付いたようで、周りをぐるりと見渡した。あるものに目が留まったのだろう、「あれは……？」と言いながら、山田裕貴は1つのテントを指差した。

友人たちは一枚がっかりする。テントを張るのを忘れたことに気がつかなかったのだ。山田裕貴はポツリと呟いた。「俺、今夜はテントで寝るのが嫌だな……」そのとき、さやかは突然、「じゃあ、あのゲストハウスに泊まってみるってどう？」と提案した。

「ゲストハウス？」友人たちは疑問に思ったが、山田裕貴は「いいじゃん！　それならやる！」と笑いながら返答した。そこで、5人は車に乗り、ゲストハウスに向かった。

風景は素晴らしい。夕日に染まる山の丘陵地帯にある、小さな分譲別荘のようなものがたくさん並んでいる。すぐにKeyからの徳太郎という人物に出迎えられ、部屋に案内される。

客室にはダブルベッド、キッチン、テレビなどが設置されており、満足いくまで過ごせる。友人たちはエキサイトしていた。ところが、5人が部屋から出る時、何かが違うことに気がついた。部屋の外に足跡があるのだ。そんなことは誰も言わなかったが、やけに静かに、「Yeah！」とかいう声も聞こえてきた。

それでも、グループとしては金欠じゃなかったため、最後にキャンプ場に戻ることになった。夜になって、キャンプファイヤーを囲んで話をしていたとき、みんなひとりの友達の話に耳を傾けた。その友達は、自分もビビってしまったという、小屋の裏の森にいるらしいカラスが妙に不穏なことをやっているというものだった。

だが、そんな話もどこか笑い話みたいな雰囲気で、誰も気にしなかった。その晩、5人は5つのテントに潜り込もうとしたが、同じことをしないために1つずつ寝ることにした。何事もなく夜は過ぎ、次の日に目覚めた時には、お互いがスッキリしていた。

その晩、一度も考えていなかった5人だったが、やはり部屋の後ろにいる小さなカラスという出来事が気になっていた。多分、何もなかったんだろうと思いたい。果たして、その時友人たちが見たものは何だったのだろうか……。

■この小説のちくわ自己採点： 感動的：2　笑える：8　悲しい：0　夢がある：4　怖さ：5. 合計点：19