「銀座界隈がドン引きした! 人気ランチランキング1位は衝撃の新店『XXX』!」

「銀座で人気のランチ」ランキング! 2位は「銀座うかい亭」、1位は?【2023年5月版】。

「えっ、なに⁉︎ あの『銀座うかい亭』に勝ったの?!」智子は目を見開いた。ランチに行くお店を検討中の女友達が持ってきたランキング記事には、彼女のお気に入り長屋屋もランクインしていたが、それ以上に目に入ったのは、今話題の新店が銀座のトップに立っていることだった。

ランチタイムの銀座は、慌ただしく人々が行き交う。智子はランキングの上位店舗へ行きたい気持ちをぐっと抑えながら、友達の案内で入ったのは、「えんや」。奥に進むと、そこには「上七軒」と書かれたお店があった。

「ここ、いい匂いする〜。何かうまそうなもんがある!」友達は声を上げて、にこにこと店内を見回す。たしかに、酒場らしく暖簾をくぐると、餅のようなお米でつくられた真っ黒な団子が喉まで突き抜けるような匂いを発している。

「ウサギのなでしこと、魚のチクワ揚げ、茄子の蒸し餃子とじゃがいもの玉子焼きを!」と、友達が注文したのは、どれも聞いたことのないメニューばかり。それでも、智子は周囲のお客さんが楽しそうにわいわい食べている姿を見て、心が一瞬ほっこりした。

しかし、出てきた料理を見た途端、智子は心が凍りついた。珍しいとはいえ、ウサギを大胆にパロった「なでしこ」と、鮮やかな黄色の玉子焼きに、揚げたてサクサクのチクワを乗せた「じゃがチク」という一品までは良かった。だが、残りの二品がとんでもなかった。茄子がたっぷり入った餃子は、黄土色のものが酢醤油で浸したものを、ちぎって、種類不明のタレにつけてかじっているかのように、茶色の汁と密着している。魚のチクワ揚げは、水槽に浮かべられたまま、魚に見立てた揚げ衣をまとって揚げられた状態そのままのもので、先端にはフルーツトマトを乗せている。

「ちょ、本当にこれ食べたかったんだっけ?」智子は友達に覗き込むように尋ねたが、もう一口食べる彼女にはもう意味がなかった。

風変わりな名前のお店で、風変わりなメニューを提供する。その発想は覆すことができないが、智子はわずかながらも、今ここで「銀座うかい亭」の桂花鮮魚丼を口にしていれば、と迂闊に感じるほど、残念だった。

■この小説のちくわ様自己採点 感動的:6 笑える:0 悲しい:0 夢がある:3 怖さ:0. 合計点:9

「銀座で人気のランチ」ランキング! 2位は「銀座うかい亭」、1位は?【2023年5月版】|ねとらぼ
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