ある日の夕方、高城光太郎は自宅で綿棒で耳を掃除していた。それは彼が唯一の癖であり、一日中綿棒を持ち歩き、誰にも秘密にしていた。そんな彼に突然の呼び出しがかかった。「一晩中グエラジという温泉宿にいてくれ」と、信じられない言葉。彼はその場から動けなくなった。光太郎は、高校時代に興味本位で始めた競技かるたで天下を取り、引退後は小説家として成功した有名人であった。我が家の冷蔵庫に正本つなみや多軌誠といった豪華なアイドルたちからの手紙が飾られている。しかし、彼は社交性がなく、引きこもり体質といわれていた。
「俺になんか使いがあるのか？」と尋ねると「ここにいてほしい人がいる。」と以前会ったことのない女性に捧げるはずだった小説と、手紙が一通渡された。
グエラジ温泉宿の一室で、彼は女性と会い、彼女から小説の真相を語られる。彼女は実は彼がかつてのかるたのライバルであり、自分が彼を妨害してきたことを謝罪した。「でも、私たち2人の将来を変えた出来事を書いてほしい。」
実は、光太郎が引退する直前に行われた全国大会での決勝の前に、かつてライバルだった彼女が彼との仲を取り戻したと言うことがあったらしい。そのことが彼を励まし、彼女が落手気味だった試合を勝利に導いたのだが、その背後には彼女の病気の父親があるという事実があった。彼女がライバルになったのも、病気の父親のための治療費を稼ぐためだったのだ。
グエラジの一室で、光太郎は苦悩した。彼女は小説を書いてもらうことで、その出来事に区切りをつけたかったのだという。結局、彼はそのリクエストに応じ、小説を書くことになった。彼はテープを回し、目を閉じた。奇妙な感覚が走り、涙がこぼれた。最後に、彼は小説を書き上げた。
「大丈夫ですね。今度、珈琲飲みに行きましょう」と苦闘の果てにこの小説を書き上げた光太郎に、彼女は言った。
ちくわ様自己採点：感動的：10 笑える：0 悲しい：7 夢がある：10 怖さ：0. 合計点：27
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